生前退位が問いかける日本の国体とは? 人権と公務の狭間で揺れる皇室の未来!

【はじめに】
昼から生でガチバトルは実在しない架空の番組です。すべてゲンカイモンが創作したものであり、実在する人物、団体、書籍とは一切関係ありません。ただし、内容は参考文献に基づき正確性を期すよう、細心の注意をはらい制作しています。初めて訪問された方は「ヒルガチの歩き方」をご覧ください。こちらをお読みいただくことで、より深くヒルガチをお楽しみいただけます。



テレビの前のあなた、はじめまして。

エグゼクティブ・プロデューサー、ゲンカイモンと申します。

ゲンカイモンのプロフィールはこちらをご覧下さい

かねてより準備を進めてまいりました「昼から生でガチバトル!」、いよいよ記念すべき1回目の放送となります。

少々、番組タイトルが長いので「ヒルガチ」と親しみを込めて呼んでいただけると、スタッフが泣いて (笑) 喜びます。

この番組の目的、それはあなたのクリティカルシンキングスキルの鍛錬です。

鍛錬するには鍛える場所が必要。

そのための場を私が用意しました。

それが思考の道場、「道場ヒルガチ」です。

情報が溢れる現代において物事の本質を見抜く力、すなわちクリティカルシンキングはこれからの社会を生き抜くための必須スキルと私は確信しています。

このスキルの鍛錬には肯定側、否定側双方の立場から思考する討論がとても適しています。

あなたと異なる意見や見解を考察し、クリティカルシンキングスキルを研ぎ澄ませましょう!

どうぞ楽しみながら「道場ヒルガチ」でスキル向上を目指して下さい。

クリティカルシンキングについては「クリティカルシンキングを極める!」をご覧下さい。

本日のテーマは天皇と皇室の未来。

タブーと思われがちなこのテーマは、日本の国体 (國體 こくたい:天皇を中心とする日本独自の国家のあり方や体制)、伝統、歴史、文化、そしてあなたの日本人としての在り方が問われるものです。

番組史に残る1回目の放送にこれ以上ふさわしいテーマが思い浮かびませんでした。

さあ、ガチバトルの開始です。

田川さん、あとは頼みました。

どうぞよろしく!


田川
はい、ゲンカイモンさん。

おまかせ下さい。

こんにちは、田川 福三郎です。

【田川 福三郎プロフィール】
ジャーナリスト歴60年。番組をまとめることが使命と信じる熱い男。事前にゲンカイモン、アシスタント大鷹、番組スタッフと入念に打ち合わせを行い、理論武装した上で番組へ臨んでいる。4人目のパネリストとして鋭く切り込む。

さぁー、いよいよ始まります。

1週間で最も熱い金曜日「昼から生でガチバトル!」、略して「ヒルガチ」第1回目の放送です。

1年かけて放送の準備を進めてまいりました。

この日を無事に迎えられ感慨無量です。

テーマの発表と論点

田川

まずは本日のテーマを発表します。

「生前退位が問いかける日本の国体とは? 人権と公務の狭間で揺れる皇室の未来!」

ジャーナリスト生活60年、個人的にも本日のテーマほど日本の根幹に関わるものはないと感じています。

まず、論点を整理しましょう。

大鷹さん (番組アシスタント)、フリップを用意して下さい。


大鷹
はい、田川さん。

本日の主な論点を肯定的なもの、否定的なものに分けてご紹介します。

肯定的意見 (生前退位に積極的立場)

・天皇の意思の尊重が国民の敬愛と共感を深める
・一人の人間として基本的人権は最大限尊重されるべきである
・心身の健康を保ち、人間らしい生活を送る権利が保障されるべきである
・高齢による公務遂行の負担を軽減し、象徴としての役割を健全に次代へ継承できる
・皇室が時代に合わせ変化することで、サステナブル (Sustainable:持続可能性) 的存続に繋がる


否定的意見 (生前退位に慎重な立場)

・上皇と天皇という二重権威が生まれ国政に混乱を招くリスクがある
・人権に偏重するのは万世一系から続く皇室の神聖性や尊厳を損なう可能性がある
・天皇の地位は世襲であり、その役割は歴史と伝統の継承という極めて特殊なものである
・天皇は個人である前に国民統合の象徴という公的存在であり、人権は一定の制約を受ける
・退位の自由を認めると時の政権による政治的利用、天皇の恣意的な退位に繋がる恐れがある

以上が本日のテーマの論点をまとめたものです。


田川
大鷹さん、ご苦労さま。

大変わかりやすくまとまっています。

少しお時間をいただきます。

えー、本番中にスタッフを褒めるなんてホントはいけないことなんだけれど、初回放送なのでお許し願いたい。

ここにいる大鷹という男。

この日のために365日24時間、働き続けてくれました。

ははは……、それは言い過ぎかな?

いや、冗談はともかく、膨大な資料のファクトチェックから信頼できるパネリストを探す作業まで、彼がいなかったら放送開始までもう1年はかかっていたでしょう。

私とゲンカイモンさんだけでは無理だったよね?
(ゲスト席で見守るゲンカイモンが親指を立てながら大きく頷く)


大鷹
いえ、田川さん、この番組にたずさわれただけで光栄です。

だって、滅茶苦茶やりがいありますもん!

オファー来たとき、速攻オッケーしました。

お声がけくださり本当に感謝しています。

この日を迎えられて本当に幸せです (涙がこぼれる)

本番でこんなこと言うなんて、田川さぁーん、聞いてないっすよぉー、打ち合わせになかったじゃないっすかぁー!(嬉し涙で号泣)


田川
泣くこたないだろう (笑)

驚かすつもりはないんだけれど、本当に感謝しています。

誰か、ティッシュ持って来て!

内輪の話で時間を使ってしまい申し訳ない。

本日のパネリスト紹介

それでは、本日のパネリストをご紹介します。

まず、天皇にも人権が保障されるべきであり、生前退位の恒久制度化に肯定的な立場の憲法学者、新庄 護さんです。


生前退位肯定派:新庄 護 (しんじょう まもる)
・東京大学名誉教授
・専門は憲法学、人権論
・皇室典範の早期改正を訴える市民団体代表
・著書『象徴と人権―開かれた皇室への提言』他


新庄
記念すべき第1回目にお招きいただき、ありがとうございます。

新しい開かれた皇室について、私の考えをお伝えできればと思います。


田川
続いて天皇の公性を重んじ、生前退位には慎重であるべきという立場の歴史学者、古賀 典仁さんです。


生前退位慎重派:古賀 典仁 (こが のりひと)
・国史研究会理事長
・専門は日本古代史、皇室制度史
・宮内庁書陵部での勤務経験を持つ
・著書『国体と天皇 − 万世一系の重み』『この国に生まれこの国で死ぬ誇り』


古賀
新番組、しかも1回目にこの難題を選ぶ田川さん、さすがです。

出演の機会をいただき光栄ですが、言うべきことは言わせていただきます。


田川
のぞむところです。

そして、本日は特別ゲストにお越しいただきました。

明治天皇の侍従長を35年という長きにわたり務めた、徳大寺 実則 (とくだいじ さねつね) のひ孫、藤原 宗介さんです。


特別ゲスト:藤原 宗介 (ふじわら そうすけ)
・徳大寺 実則のひ孫
・著書『知られざる側近、侍従長に生きて』他多数
・保守の論客として歯に衣着せぬ言論からときにSNSを賑わせる


藤原
徳大寺 実則の血を受け継ぐ者として、私の考えを伝える所存であります。

【お断り】
徳大寺 実則氏は実在した人物ですが、藤原 宗介が氏の “ひ孫” という設定及び、番組内での発言はゲンカイモンが創作したものです。徳大寺 実則氏と藤原 宗介の発言内容に何ら関係性はございません。硬派な保守の論客というキャラクター設定をご理解の上お読みください


田川
このお三方と白熱した議論を戦わせてまいります。

生前退位で顕在化した課題とは? 今こそ問う天皇の人権!

田川
平成28年8月8日「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」で、上皇陛下が生前退位の意向を示されました。

おことばから数年が経った今、このテーマを1回目のヒルガチに選んだ意義を、私が説明してもいいんだけれど、古賀さんいける?

じゃぁー、古賀さんにまかせちゃおう。

お願いします。


古賀
はい、田川さん。

おまかせ下さい。

平成の生前退位はあくまで、上皇陛下お一人に限る「特例法」により実現しました。

皇室典範に退位の規定がないためです。

これは、将来の天皇が高齢や病気が原因で公務の遂行が困難になった場合、天皇自らの意思で退位できる道筋がないことを意味します。

現在、皇位継承資格者は、秋篠宮文仁皇嗣殿下 (あきしのみやふみひと こうしでんか)、悠仁親王殿下 (ひさひと しんのうでんか)、常陸宮正仁親王殿下 (ひたちのみやまさひと しんのうでんか) 3人であり、皇族数の減少は深刻な問題です。

このサステナビリティの危機と相俟って、天皇個人の負担、ひいては人権の問題として再び私たちの前に突きつけられているのです。


新庄
古賀さんのご指摘はその通りです。

天皇に職業選択の自由、居住移転の自由、そして「辞める自由」がないのが現状です。

これは日本国憲法が保障する基本的人権の享有主体から、天皇お一人がすっぽりと抜け落ちているに等しい。

例えば、※80歳を過ぎた人が「もう働けません」と言っても誰も非難しません。
※80歳:実際には20歳であろうと実年齢に関わらず労働しない選択が可能

「長い間ご苦労様でした、ゆっくりと隠居生活を満喫して下さいね」

こんなねぎらいの言葉をかけられ、堂々と胸を張って引退されることでしょう。

しかし、天皇陛下は許されない。

この不当を私たちは直視しなければなりません。


藤原
ご両人の意見、興味深く聞かせてもらった。

申していることは理解できるが、儂 (わし) の考えはまったく異なる。

まず心に刻むべきは、天皇陛下を我ら国民と同じ人権という物差しで測ろうとする、この行為自体が根本的な誤りということだ。

天皇という御存在は国家万民への祈りであり、公 (おおやけ) そのものなのだ。

ひたすらに民の安寧を祈り、国家の象徴として在 (あ) られる。

それこそが、陛下に課せられた御務め。

その尊きおありように、人権や自由などの西洋渡来の考えを持ち込み是非を論じるなど、我が二千年の国体とは断じて相容れぬ。

そのような所業は決して許されるものではあらぬ。

象徴天皇は個人か公人か? 憲法の基本的人権を巡るガチバトル!

田川
藤原さんの意見は、伝統的な天皇観を代弁するものですね。

新庄さん、憲法学では天皇の人権はどのように解釈されるべきなのでしょうか。

日本国憲法第11条には「国民はすべての基本的人権の享有を妨げられない」とあります。


新庄
非常に重要な点です。

憲法学者の間でも解釈は分かれますが、通説的には天皇も日本国民である以上、人権の享有主体であると考えられます。

ただし「象徴」という特殊な地位ゆえ、その人権には内在的制約がかかると解釈される。

その制約がどこまで許されるのかが問題なのです。

公務からの解放を認めないのは制約の範囲を逸脱しているのか、それともしていないのか、おおいに議論すべきです。

例えて言うなら、社長が辞めることを許されない会社のようなもの。

高齢になり体調がすぐれないのに死ぬまで働けと強制する。

こんなことが現代社会で許されるでしょうか。


古賀
新庄さんのたとえ話は論点を歪曲しています。

天皇の地位は一般職務ではありません。

国民統合の象徴という極めて重いお立場にある。

歴史を振り返れば南北朝の動乱期のように、皇位が政治的に利用された悲劇は数多くあります。

皇室典範に退位規定を設けていないのはこうした歴史の教訓から、皇位の安定性を最優先に考えた先人の知恵なのです。

もし、天皇に退位の自由を認めるなら時の権力者が天皇に退位を迫る、あるいは逆に天皇が自らの意思で退位し、裏から政治的影響力を行使する事態が想定される。

このような悲劇を繰り返すことだけは絶対に避けなければいけません。


藤原
古賀殿の申すことに同感である。

そもそも人権という思想は王を退位させ、民が権利の座についたフランスの革命より生まれた、歴史の浅い考えに過ぎぬ。

かかる西洋渡来の考えを、神代 (かみよ、じんだい:神々が支配していたとされる神武天皇即位までの時代) より連綿と続く我が皇室に当てはめるなど、歴史への冒涜 (ぼうとく:神聖なもの、清浄なものを汚す行為や発言) 以外のなにものでもあるまい。

陛下は日本国の平和と民の安寧を祈り給う御方。

我ら国民が平穏に暮らせる、その大元におわすのだ。

我が日本国を一本の樹に喩えるならば、皇室はその根にあたる。

目先の枝葉、すなわち民の権利に目を奪われ、その樹を支える根たる皇室を疎かにすればどうなるか。

やがて樹は枯れ、国が滅びるのは必定の理 (ことわり:物事の筋道、道理) であろう。

世界の王室は人権とどう向き合っている? オランダ、デンマークの事例から日本を考察!

田川
なるほど。

ここで視点を海外に移してみましょう。

世界の王室では君主の生前退位や人権について、どのように考えているのでしょうか。

新庄さん、お願いします。


新庄
はい、かしこまりました。

ヨーロッパの立憲君主制国家の多くは生前退位が制度として確立され、国民に認知されています。

オランダでは2013年にベアトリクス女王が75歳、同じ年にベルギーのアルベール2世が79歳、2014年にスペインのフアン・カルロス1世国王が76歳で、それぞれ退位しました。

そして、2024年1月14日、世界で唯一 (当時) の女性君主、デンマークのマルグレーテ女王が国民に温かく受け入れられ83歳で退位しています。

イギリス王室においては、故エリザベス女王 (2022年9月逝去) は生涯在位を貫かれました。

ロイヤルファミリーの私生活は映画俳優並みに国民の関心の的です。

それほど自由闊達にプライベートを楽しんでいる。

彼らは公人でありながら、私人としての振る舞いも国民に受け入れられているのです。

「一人の人間として幸福を求めることは自然である」

このような考え方が、社会に浸透しているからです。

すなわち、王族であろうと人権がきちんと保障されている。

日本の皇室だけが、時代から取り残されたガラパゴスであってはならないはずです。


古賀
新庄さんはヨーロッパの事例を挙げられましたが、日本の皇室とヨーロッパの王室とでは、その歴史的背景と国民との関係性が全く異なります。

ヨーロッパの王室は度重なる革命や戦争の中で、国民との契約によりその地位が保障される、※社会契約説の考え方が一般的です。
※社会契約説:社会の基礎を個々の人間におき、それぞれの主体が互いに契約を結ぶことで社会が成立すると説く

一方、日本の皇室は古代から続く祭祀を司る神聖な存在として、国民の精神的な支柱であり続けてきました。

いわば「血の継承」と「祭祀の継承」が一体となった、世界に類を見ない存在なのです。

国民との間で契約書を交わす必要性など存在しない。

欧州の女王や国王の退位を日本も見習うべきという意見は、あまりにも短絡的と言わざるを得ません。


藤原
西洋の王家を見よ。

俗世の噂話に名を連ね、まるで動物園のパンダのごとく見世物となっているではないか。

このような姿が我が皇室が目指すべき理想だとでも申すか。

我が皇室がかくも国民から深き敬愛を寄せられるのはなぜか。

それは、御身を厳しく律し、私 (わたくし) を滅し、ただひたすらに公 (おおやけ) に奉じ給う、その尊き御姿あればこそ。

かの国々の例を引き合いに出し、我が国の伝統を貶めるがごとき浅はかな言説、到底聞き入れられぬ。

我が皇室は、この日本の風土においてのみ育まれた、万邦無比 (ばんぽうむひ:世界で比べるものがないほどに優れている) の御存在なのだ。

生前退位の恒久制度化は是か非か? 皇室の安定性と恣意性のジレンマ

田川
では、議論の核心である生前退位の恒久制度化について伺います。

一代限りの特例法ではなく、皇室典範を改正し退位の規定を盛り込むべきか否か。

これは非常に大きな決断です。

新庄さん、恒久制度化が必要な理由をお聞かせ願いたい。


新庄
理由は二つあります。

一つは、天皇個人の尊厳を守るため。

もう一つは、皇室制度の安定性を保つため。

内閣府の発表によると、日本の65歳以上の人口は3621万人、総人口に占める割合は29.4%に達し、※OECD加盟38か国の中で最高です (2025年10月発表)
※OECD (Organisation for Economic Co-operation and Development:経済協力開発機構)

今後、天皇が高齢化することは避けられません。

天皇も人間です。

高齢による体力の衰えや疾病に罹患する都度、国会で特例法を作るような場当たり的対応では、象徴天皇制の継続性が揺らぎかねません。

明確なルールを定めることで恣意性 (しいせい:論理的な関連性がない判断、他の意見を参考にしない勝手な判断) を排除、安定した皇位継承が可能になります。

辞めたいと言える自由がある、だから続ける意思が尊崇の念の対象になる。

これが現代的な皇室の在り方ではないでしょうか。


古賀
新庄さんは恣意性の排除とおっしゃいますが、私は逆に恒久制度化こそが恣意性を招くのではと危惧します。

それが皇室典範に退位の規定が明記されていない理由である、というのは前述した通りです。

例えば「重大な心身喪失」を退位の要件とした場合、その判断は誰がどのような基準で行うのか。

医師の診断なのか。

内閣の判断が加われば、それは政治利用に繋がりかねない。

天皇ご自身の意思だとしても、その背後に何者かの意図が働いていないとどのように立証するのか?

極めて曖昧で危険な領域に足を踏み入れることになる。

現行の崩御 (ほうぎょ:天皇、皇后、皇太后、太皇太后など君主の死去を表わす最高敬語) による継承こそ誰の意思も介在せず、恣意性が入る余地がない最も客観性が担保できる制度なのです。

皇室典範を改定すべきではありません。


藤原
両人はまだ物事の表層をなぞっておるに過ぎぬ。

天皇という御立場は運命、もとい、運命などという生易しいものではない。

それは宿命なのだ。

運命とは、己の志や行い次第で切り拓ける道筋を指す。

だが、宿命とは生誕する以前より定められた、人の力では抗いようがない天命そのものをいう。

すなわち、陛下は御降誕のその瞬間より、天皇と定められた御方なのだ。

そこに「天皇とならぬ」という道は一片たりとも存在しない。

その逃れ得ぬ重き宿命を一身にお受けになり、御一生涯を国民のため、国のために捧げ尽くされる。

その尊き大御心 (おおみこころ:天皇の心、考え) に我ら国民は心打たれ、限りなき敬愛の念を抱くのだ。

生前退位が許された瞬間、宿命という千鈞 (せんきん:価値がきわめて高いこと) の重みは鴻毛 (こうもう:水鳥の羽毛) の如く軽くなり、尊さは地に堕ちるであろう。

それはもはや、我らが仰ぎ見る天皇ではない。

生前退位を制度と定めるは、開けてはならぬ禁断の扉を開くに等しい。

一度開けば最後、我が皇室の尊厳を根幹から揺るがすことになる。

国家百年の禍根となるであろう。

スタジオゲストが語る私たちの象徴天皇観

田川
示唆に富む意見、ありがとうございます。

ここで一度、スタジオにお越しの皆さんの意見を伺ってみたいと思います。

このスタジオには老若男女、様々なバックグラウンドを持つ方々にお集まりいただいています。

大鷹さん、マイク用意して下さい。


大鷹
はい、わかりました。


田川
まず、若い人に聞きたいな。

人気ユーチューバーのヒカルノゲンジさん、ここまでの議論を聞いてどう思いますか?
(大鷹がゲストへマイクを向ける)


ヒカルノゲンジ
はい。

僕らの世代からすると、天皇陛下は正直遠い存在でした。

でも、上皇さまのあの「おことば」を聴いたとき、すごく人間らしいなって感じて、一気に親近感が湧いたんです。

毎日、国民のために祈って公務して、マジ大変だと思うんですよ。

だったら、おじいちゃんになったら引退して、ゆっくり孫と遊んだりしてほしい。

そのほうが応援したくなるし、より身近に感じる気がします

人権とか難しいことはわからないですけど、一人の人間として普通にハッピーでいて欲しいなって……。


田川
「ハッピーでいて欲しい」

いいですね。

次に、弁護士の法月 倫子 (のりづき りんこ) さん、いかがですか?


法月
法律家の観点から申し上げます。

憲法との整合性をとるには、生前退位の恒久制度化するに当たり、皇室典範の改正が必要と考えます。

この場合、古賀先生がご指摘のように、恣意性を排除するための厳格かつ明確な要件設定が不可欠です。

例えば、皇室会議の議決を必須とするなど、客観的な手続きを法的に担保することが、制度を健全に運用する上での最低条件になると考えます。

感情論に流されず法的な安定性を確保する、これが最大の課題です。


田川
なるほど。

おや!

挙手している方がいる。

元最高裁判事の大前寺 巌 (だいぜんじ いわお) さん。

大鷹さん、マイク回してあげて!

どうぞ、言いたいこと仰って下さい。


大前寺
ありがとうございます。

伝統の重みを何よりも重視すべきだと考えます。

法は社会の変化に応じて変えるべきもの、これは言うまでもありません。

ただし、社会の変化に影響されない本質、変えてはならない根幹部分が同時に存在する。

皇室典範はまさにその根幹に関わる法律です。

平成の特例法は国民の深い共感に支えられた、E 難度の裏ワザでした。

しかし、それを恒常的なルールにすることに強い懸念を覚えるのは、藤原さんと意を一にするところです。

国の形に多大な影響を与える問題は結論を急ぐべきではありません。

すいません、どうしても伝えたかったものですから。


田川
いえ、積極的に発言される、番組としても大歓迎です。

ありがとうございます。

それでは最後に外国の方に聞いてみましょう。

アメリカからお越しのジャーナリスト、キャサリン・ミラーさん。

海外から見て、日本の皇室はどんな印象ですか?


キャサリン
アメリカ人はもちろん、個人的にもとても関心を寄せているトピックです。

私の国アメリカには王室がないので、天皇という存在は神秘的に映るからです。

一つ言えるのは、国民の共感が得られない制度は、長期的には存続が困難になる可能性があります。

多くの日本人が天皇の過酷な公務に感謝し、人としての幸福を願うのであれば、時代に合わせ制度をアップデートしていくのは、SDGs (Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標) の観点から非常に重要です。

そして、私が感じるのは、伝統と個人の尊厳という世界中の国が抱えている普遍的課題が、日本の皇室に凝縮されているということ。

この課題をどのように解決するのか?

これからも、日本の皇室から目が離せません。

ゲストの声を受けパネリストが分析する! 共感と尊厳のバランス!

田川
スタジオの皆さん、貴重なご意見ありがとうございました。

「親近感」
「法的安定性」
「伝統の重み」
「国民の共感」
「持続可能性」

様々なワードが出てきました。

パネリストの皆さん、これらの声を受けてどう感じましたか?

新庄さんからどうぞ。


新庄
ヒカルノゲンジさんやキャサリンさんの意見は、非常に示唆に富んでいます。

国民の共感こそが現代における象徴天皇制の基盤である……と。

天皇が超人的な存在として雲の上にいるのではなく、私たちと同じように悩み、苦しみ、そして老いていく1人の人間であると国民が感じた時、本当の意味での敬愛が生まれるのではないでしょうか。

生前退位の制度化は天皇の人権を守るだけでなく、皇室と国民の絆をより強く確かなものにするための道筋だと私は確信しました。

法的安定性は法月さんが仰る通り、厳格な手続きを設けることで実現可能です。


古賀
しかし新庄さん、その共感という感情に皇室の尊厳を損なう危険性はないのでしょうか。

ヒカルノゲンジさんの人間的優しさからくる、「ハッピーでいてほしい」という素直な気持ち、もちろんそれはとても微笑ましく多くの国民の願いです。

ただし、皇室の権威という観点から見ると、その喪失に繋がる懸念が拭えません。

天皇というお立場が、我々の日常と同じレベルで語られるようになった時、果たして国民統合の象徴たり得るのか。

私は国民と皇室との間に、精神的な距離が適度にあってしかるべきと考えます。

その距離が畏敬、尊敬、感謝の念の礎となり尊厳に繋がる。

安易に共感という美名に流され、二千年の伝統を軽んじてはなりません。

国民の共感と皇室の尊厳、この二つのバランスをどう取るか熟慮 (じゅくりょ:あらゆる方面から十分に考えること) が必要です。


藤原
新庄殿が言う共感の情、儂は相容れぬ。

陛下に対する我ら国民の心根は、感謝と畏敬の念だからだ。

これこそが本質である。

御自身の宿命に抗うことなく、私を滅して公に奉じ給う。

その御姿に対し、国民が衷心 (ちゅうしん:まごころ、本心) より捧げる感謝と畏敬の念こそが、皇室と我らを繋ぐ本来あるべき絆であろう。

「お辛かろうからお辞めになられては」

一見すれば温情ある言辞に聞こえようが、それは陛下の御覚悟を土足で踏みにじるがごとき行為に他ならぬ。

陛下がこの重き宿命を真正面からお受けになり、御一生涯を捧げ尽くすという固い御覚悟を決心なされた。

その御覚悟に対し我ら国民が、「お辞めになるべきだ、いや、お続けいただくべきだ」などと口を挟むなど、僭越 (せんえつ:自分の地位や立場を越えて出過ぎたことをする) 以外のなにものでもなかろう。


田川
確かに、ヒカルノゲンジさんのように親近感を口にする人は多い。

しかし、天皇の覚悟に対し尊敬や感謝の気持ちを抱いている国民が、特に若い世代に少ない印象があります。

藤原さんがおっしゃるように、国民の平和と安寧を祈り続けてくださる存在だという事実が、今の義務教育ではほとんど教えられていない

これは私を含むマスメディアにも責任がある

語ってこなかった。

反省しなきゃダメだ。

共感と畏敬、親近感と感謝。

どれも相反するものではありませんが古賀さんが言う通り、そのバランスをとるためのさらなる議論が必要です。

うーん、これは本当に難しい。

番組に寄せられるリアルな声

田川
リアルタイムで見てくださる、視聴者の皆さんからたくさんのメールが届いています。

すぐ反響が届く、これが生放送の醍醐味なんですよ。

大鷹さん、どんな意見が来ていますか?


大鷹
はい、田川さん。

100通以上いただいています。

その中から、ここまでの議論を象徴するお2人をご紹介します。


東京都、45歳の主婦、さくらもちさん
「私は上皇后美智子さまがご成婚当時、大変なご苦労をされたと聞き皇室の方々の精神的なご負担は、私たちの想像を絶するものがあると感じています。雅子さまもそうでした。天皇陛下や皇族の方々が、少しでも心安らかに過ごせるようにと願わずにはいられません。生前退位はそのための一歩だと思います。伝統は大切ですが人の心が壊れては元も子もありません。」

福岡県、68歳の自営業、博多一本気さん
「わしは天皇陛下は日本の父であり、国の安泰の礎であると信じとります。父が辛いからといって簡単に家長の座を投げ出すでしょうか。断じてそんなことはない。どんなに苦しくとも、家族のために耐え忍ぶのが父親です。生前退位という言葉は軽々しく口にできません。皇室の伝統を守ることこそ子孫に対する国民の責務ですたい。」


ご紹介したのはお二人ですが、他にも様々な年代の方から様々なご意見をいただいています。

紹介できなかった視聴者のみなさん、たくさんのメール本当にありがとうございます。

以上です、田川さん。


田川
大鷹さん、ありがとうございます。

さくらもちさんが親近感、博多一本気さんが伝統、対照的な2つのご意見です。

論点が明確になってきました。

「親近感から生まれる人権への配慮、そして、伝統は歴史に重きを置いて継承するべき」

スタジオの議論を象徴する2人のご意見が寄せられました。

だが、けして対立させてはならない。

新庄さん、さくらもちさんのご意見、どう受け止めますか。


新庄
まさに、私が申し上げたい共感の表れです。

皇室の方々も私たちと同じように、痛みを感じ苦しむ人間であるという視点。

この視点がなければ議論は始まりません。

昨今、SNS の普及により、皇族の方々への誹謗中傷が深刻な問題となっています。

現状皇族は名誉毀損が疑われる場合でも訴訟を起こせません

こうした精神的なご負担も含め、皇室の方々の人権保護の環境を整えることは一刻の猶予もありません。
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/seigan/217/yousi/yo2171233.htm
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/seigan/217/yousi/yo2171236.htm

さくらもちさんのご意見は多くの国民が抱いている実感だと思います。


古賀
博多一本気さんの意見に賛同される方も多いでしょう。

天皇を父と見る、この家族的な感覚こそ日本の国体の核心部分。

父が自己の都合で役割を放棄する道が生まれたら、国民の精神的な拠り所が失われてしまう。

もちろん、皇族の方々の精神的なご負担は、真摯に受け止め対処しなければいけません。

しかし、その解決策が自主退位という選択でよいのか。

国民一人ひとりが皇室への敬意を深め、不敬な言動を慎むことは言を俟 (ま) ちません。

制度を変える前に、われわれ国民が自らの意識を変えるのが正しい順序です。


藤原
問題の本質が「生前退位を制度として認めるか否か」の一点にあることは、衆目の一致するところである。

さくらもち殿の皇族への配慮からの是認、博多一本気殿の伝統を受け継いでいく大切さからの否認、どちらにも理がある。

平成の譲位があれほどまでに滞りなく実現したのは、ひとえに上皇陛下のお人柄と国民との間に築かれた深い信頼関係の賜物にほかならぬ。

大前寺氏が言うところの「E難度級の裏ワザ」とはまさに言い得て妙である。

だが、未来の天皇が同じよう、国民との間に信を築けられると誰が保証できよう。

「儂は陛下を信ずる、いや、儂は信じない」などと、個人の感情に右往左往する制度であってはならぬ。

天皇の御人徳に依存する危うい制度ではなく、いずれの親王がその御位に就かれようとも、決して揺らぐことがない盤石な制度をこそ構築すべきである。

裏ワザはいっときのみには通用する。

その意味において、崩御による皇位継承の現行制度こそが最も強い説得力を持ち、国民の信頼に応える道だと儂は確信する。

上皇の存在は権威の分裂を招くのか? 歴史に見る懸念と現代的解釈

田川
「崩御による皇位継承こそが国民の信頼に応える」

藤原さんのご指摘は、生前退位を明確に否定なされたと受け止めます。

ここからは生前退位を考えた場合の具体的な懸念点、「二重権威」の問題に移りたいと思います。

退位した上皇と新たな天皇。

二人の象徴が存在することで国民の分裂、政治の混乱が起こるという議論があるけれど、ここにいるお三方はどう答える?

古賀さんからうかがいたい。

歴史的観点からどう考えたらいい?


古賀
歴史上、上皇が絶大な権力を持った時代が存在しました。

平安時代後期の院政がその典型です。

天皇が若くして位を譲り上皇として政治の実権を握る。

結果、朝廷内の権力構造が複雑化、武士の台頭を招く一因になりました。

現代において上皇の政治介入は考えられませんが、想定はしておかなければいけません。

何事も100%絶対はないので、その対処の方法は必ず制度として考えておくべきです。

さらに、上皇を慕う人々と天皇を敬う人々、その間で無意識のうちに国民の心が分裂する可能性はゼロではありません。


新庄
古賀さんの懸念は過去に囚われ過ぎでしょう。

現代の日本は法治国家であり国民も成熟しています。

上皇陛下は退位後一切の公的行為から退かれ、現実に静かな余生を送られているではありませんか。

国民はそのお姿を温かく見守っている。

どこに二重権威の懸念があるのですか?

これは生前退位の制度化に反対するために無理やり作り出した、「想像上の怪物」に過ぎません。

むしろ、上皇がご自身の経験からの知恵を天皇にお伝えしお支えする、良好な関係が育まれる可能性の方が高いと考えます。


藤原
古賀殿が想起する、院政という懸念はもっともである。

権威が2つに分かれ政 (まつりごと:国の主権者が領土と人民を統治すること) が滞り、臣下が右往左往した歴史の過ちであった。

新庄殿の楽観は現代ではその通りであろう。

上皇陛下と今上陛下が相和される麗しきお姿が民の鑑になる。

親子の情、師弟の敬愛、これこそが我が国の美風の源泉であり、国民統合の象徴たる所以である。

「2人の象徴が国民の分裂を招き、政治の混乱を引き起こす恐れはないのか?」と田川殿は問う。

この問いに対する答えは明快である。

その恐れはない。

国の象徴は今上陛下、ただ1人に帰するからである。

上皇陛下は国民の敬愛を一身に集める国の父、皇室の長として穏やかにお過ごしいただく。

これは1艘の舟に例えればわかりやすい。

日本丸の舵をお取りになるのは今上陛下お1人。

上皇陛下は日本丸の航海を天から静かに見守り、我らに進むべき道を示してくださる「北極星」のような御存在。

星が自ら舵を取ることはありはせぬ。

しかし、その不動の輝きなくして舟は進むべき方角を見失う。

役割は違えど、どちらも欠くことができぬ尊い存在なのだ。

皇室の ※弥栄に必要なことは何か? 女系天皇と皇族数減少対策への展望!

※弥栄 (いやさか:皇室がますます栄え長く続いていくこと)

田川
議論は皇室全体の未来へと広がってきました。

冒頭で古賀さんが指摘されたように、皇族の方々の減少は目の前に迫る喫緊の課題です。

この問題と、生前退位の議論はどう繋がってくるのでしょうか。

新庄さん、いかがでしょう?


新庄
はい、密接に繋がっています。

皇族数が減少すれば、天皇お一人にかかる公務の負担がますます増大します。

このような状況の中で「死ぬまで務めよ!」というのは、現代社会の価値観、倫理観から大きく乖離するものです。

多くの国民が、上皇陛下の退位に賛同されたことがそれを証明しています。

人の寿命が50年ほどの明治時代と80年以上まで延びた現代では、「崩御による皇位継承」の制度自体を見直す必要があるはずです。

生前退位の制度化は、皇族減少という現実に対する最低限のセーフティネットなのです。

そして、この問題を根本的に解決するには、女性皇族が結婚後も皇室に留まれるようにする「女性宮家」の創設、延いては「女系、女性天皇」の議論は避けられません。

国民世論調査では女性天皇に賛成する声が反対を大きく上回ります。

女性天皇容認に賛成する割合は、敬宮愛子内親王 (としのみやあいこ ないしんのう) がお生まれになられた2001年ころから上昇傾向にあります。

国民の意識は既に大きく変化しているのです。


古賀
新庄さん、それはあまりに突飛な議論です。

生前退位の問題と、「女性、女系天皇」の問題を安易に結びつけるべきではない。

後者は万世一系、男系男子によって受け継がれてきた皇室の根幹に関わる、全く異なる問題です。

もし女系天皇を認めれば二千年以上続いてきた日本の歴史、※Y染色体により受け継がれてきた血統はそこで途絶えることになる。
※Y染色体:雌個体には存在しない染色体のため男系男子の継承の根拠とされる

それは、もはや日本の皇室ではありません。

皇族数の減少問題に対しては旧宮家の皇籍復帰など、男系男子の伝統を守りながら解決策を探るべきであり、生前退位の議論とは明確に切り離して考えるべきです。


藤原
古賀殿に同感である。

我が日本国の歴史において、八方十代の女性天皇がおられたことは事実である。

だが、忘れてはならぬのはその方々は例外なく、父方を辿れば皇祖に繋がる男系の女性であり、次代の男系男子へと皇統を繋ぐ中継ぎとしての御存在であられたということだ。

その先には例外なく、男系男子の天皇がおられた。

対して女系天皇とは、母方のみが皇統に連なる天皇を指す。

これは、我が国の悠久の歴史において一度たりとも前例のないものである。

これを認めることは、歴史に取り返しのつかぬ断絶を生むことに他ならぬ。

昨今、サステナブルな皇室などの言説が散見されるが、二千年以上続いてきた伝統を破壊することに、いかなる持続可能性があるというのか。

本末転倒と言わずして何と言おう。

我々が真に守るべきものは何か、その本質を断じて見誤ってはならぬ。

未来の皇室と国民の理想的関係はどうあるべきなのか

田川
さて、番組も残り時間が少なくなってきました。

女系、女性天皇についてはまた改めてやりたいと思います。

ここまで、人権、伝統、畏敬、共感、感謝、そして皇室の未来について、様々な角度から議論を重ねてきました。

最終的に我々国民は、皇室とどう向き合っていくべきか。

お一人ずつ、最後のご意見を伺いたい。

新庄さんからお願いします。


新庄
古賀さん、藤原さんと議論を交わし、私が守りたい人権という価値と、お二人が守りたい伝統という価値、そのどちらもが日本社会にとって重要であることを改めて認識しました。

ただし、伝統とは不変のものではなく時代に合わせて変化し、受け継がれていくものだと私は信じています。

もちろん、大善寺さんがおっしゃる「変えてはならない本質」が存在することは認識しています。

その上で、あえて言いたい。

皇室が国民の共感のなかで存続していくには、天皇の人権を尊重し生前退位を制度として認める、新たな一歩を踏み出す勇気が必要だと。

すなわち、皇室典範の改正。

それは破壊ではなく、未来へ伝統を繋ぐための賢明な進化だと信じています。

と同時に、お2人のご意見から伝統を守ることの重みを痛感している、これも偽らざる気持ちであります。

本日はありがとうございました。


古賀
私も新庄さんとの議論を通じ、現代社会において人権という価値がいかに重要であるか。

そして、国民の皇室への共感がなければ伝統は存続し得ない、このことを改めて認識した次第であります。

私が守りたいのは形骸化した伝統ではありません。

国民の精神的な支柱として、未来永劫に輝き続ける皇室のお姿です。

そのためには、我々国民が皇室の歴史と役割を深く学び、敬意を持つことが不可欠です。

制度の議論も重要ですが、まず私たち日本国民が意識を高めることから始めるべきかもしれません。

新庄さんの真摯な姿勢には学ぶべき点が多々ありました。

この討論に立ち会えたこと、誇らしい気持ちでいっぱいです。

最後に視聴者へ一言だけ。

もっと天皇のこと、皇室のことを知りましょう!

ありがとうございました。


藤原
両人のご高説を拝聴し深く感銘を受けもうした。

対立するかのように見える言説の底流には「皇室を尊ぶ心」、そして、「我が日本国の未来を案じる想い」という共通の精神が脈々と流れておる。

そのことを改めて確信した次第だ。

この問題に絶対的な唯一解は存在しないやもしれぬ。

真に重要なのはこうした議論を国民が重ね、様々な意見に真摯に耳を傾ける。

たとえ時間を要しようとも、国民全体の合意を形成せんとするその対話の過程そのものだ。

拙速に結論を求めることなく、多様な価値観を互いに尊重しつつ、我々の時代における皇室と国民との最も望ましい在り方を探究していく。

その熟慮の先にこそ、我が国の輝かしい未来が開かれるものと信ずる。

そのためには古賀殿が仰せられるよう、天皇が在らせられる意味、そして、その伝統と歴史を我々国民が今以上に学ばねばならぬ。

放送史に刻まれるべく第1回の「ヒルガチ」に参加させていただき、極めて有意義な議論に連なれたこと、衷心より厚く御礼申し上げる。

名誉顧問の特別コーナー 哲学者ソクラテスの私ならこうする!

【本コーナーについて】
このコーナーは哲学的視点からテーマを思考することが目的です。オカルトや心霊現象の実在を主張するものではありません。また、否定するものでもありません。哲学をイタコという民俗信仰を通じ、身近に感じていただくための演出とご理解下さい。


田川
私には最後に大事な仕事が待っています。

哲学的な視点から、本質を問い直す特別コーナーを企画しているんですが……。

そのためには、あの人にお願いしなければならない。

哲学と言えば、そう、あの人、ソクラテス。

名誉顧問になって欲しいのだけれど、実はまだ交渉していないし会ったこともない。

アポ無しのぶっつけ本番なんですよ。

ゲンカイモンさんはホント、無茶させるよ (笑)

ぼやいていてもしょうがない。

やりましょうか!

その前に、このコーナーの大事な人を紹介します。

ヒルガチのアイドル、イタコの恐子 (きょうこ) さんです。

恐子プロフィール】
御年87歳、イタコ歴70年、現役のイタコ。ゲンカイモンが「恐子さん、ヒルガチにはあなたが必要なんです!」と1ヶ月かけて出演交渉の末口説き落とす。普段の柔らかい南部弁と、憑依時の威厳ある口調との「ギャップ萌え」がたまらない。ポケットに忍ばせるおやつの南部せんべいをいつもスタッフにおすそ分けしてくれる、愛と知性に溢れたヒルガチ自慢の看板娘。

恐子さんはこのコーナーのためだけに、青森県は八戸市からお越しになっています。

恐子さん、はじめまして。

田川 福三郎と申します。

これから末永くお付き合い下さい。


恐子
田川さん、スタジオのみなさん、1回目の放送、おめでとさんです (パネリスト、ゲスト、スタッフ全員が盛大な拍手)

無事に終わって、本当にえがった。

アイドルだなんて、わぁ、お恥ずかしいもんでござんす。

こっちゃこそ、よろしぐ頼んます。

今日の話は、わも耳をダンボにして聞いておりました。

国の根幹の天皇さまに関わる、大事な話ですものな。

せば、ちょっくらソクラテスさん、呼んでくるはんで、うめぐ交渉してけろ。
(目をつむり、※祭文をとなえるとガクッと首が垂れる。再度、首を上げるとしっかりと見開いた目が、穏やかなるも荘厳なそれへと変貌している)
※祭文 (さいもん:神仏を祭り供物を奉る際に申し上げる文)


ソクラテス
初見参なるぞ、田川とやら。


田川
ありがとう、ソクラテス。

あなたを名誉顧問として「ヒルガチ」に迎え入れたい。

望みを聞き入れてくれますか?


ソクラテス
うむ。

本日のみなの議論、しかと聞いておった。

なかなかに興味深きテーマである。

このような議論は我がアテナイでは日常であった。

昨今の日本では、なかなかお目にかかれん。

ならば、我 (われ) が「ヒルガチ」とやらを全国に広める助け舟となろう!


田川
ソクラテス、あなたを正式に名誉顧問に任命させていただきます。

本当にありがとう。


ソクラテス
うむ。

しかと受け留めたぞ。


田川
改めてお聞きしたい。

我々はこれから天皇とどのような心で向き合えばよいですか?


ソクラテス
うむ。

汝らは「天皇に人権はあるか?」と問う。

しかし、その問い自体が本質から目を逸らさせていないだろうか。

真に問うべきは「汝ら国民にとり天皇とは如何なる存在か?」であり、「汝ら国民は象徴に何を求めるのか?」ということだ。

制度や法律を論じる前に、まず汝ら一人ひとりが自らの内にある「天皇観」を深く見つめよ。

理解した気にならず「無知の知」を思い出すのだ。

汝らは天皇について、そして天皇に何を望んでいるかについて、実は何も知らんのかもしれん。

己自身が、何を知っていて、何を知らないのか、そこから始めよ!

国の形とは法文によってのみ作られるものではない。

汝ら国民一人ひとりの無数の対話、熟議、そして敬意と感謝の念により、日々織りなされていく布のようなものなのだ。

退位を認めるか否かという二者択一の罠に陥るでない!

いかにして公の義務の尊厳と、天皇個人の魂の安寧を高い次元で調和させるか。

この道を探求し続けること、その知を愛し求める営み、すなわちフィロソフィア (哲学) こそが汝らに与えられた最も高貴な責務なのだ。


恐子
(突如、首がガクッと垂れる。再首を上げると、目尻に深く刻まれた皺から覗くその目は、荘厳なものから優しいそれへと戻っている)

ソクラテスさん、天国さ、けえってまったなぁー。

霧晴れて見えぬ道ここに現れん!
(問題が解決し進むべき進路が開けてきたの意、恐子さんの決めゼリフ)


田川
ソクラテス、恐子さん、ありがとうございました。

「まず、我々自身が天皇観を問うべきだ」

そして、「対話、熟議、敬意、感謝により、布のように国の形は織りなされていく」。

重い言葉です。

結論を急がず、国民一人ひとりがこのテーマを自らの問題として考え続ける。

まず、自分が何を知り、何を知らないのかを知ることから始める。

この知的な営みこそが、日本の未来という布を紡いでいくのだと改めて気づかされました。

本日の「昼から生でガチバトル!」このあたりで失礼します。

来週の金曜日、第2回の放送でお会いしましょう。


【参考文献リスト】

書籍
・原武史「日本政治思想史」(2025年) 新潮社
https://www.shinchosha.co.jp/book/603929/
・所功「天皇の歴史と法制を見直す」(2023年) 藤原書店
https://www.fujiwara-shoten-store.jp/SHOP/9784865783896.html
・ 笠原英彦「皇室がなくなる日」(2017年) 新潮社
https://www.shinchosha.co.jp/book/603796/

国立国会図書館ー調査と情報 NUMBER 943 (2017. 2.23.)
・天皇の退位をめぐる主な議論
http://bit.ly/3K7wUyP


【ゲンカイモン総括】
第一回目の「昼から生でガチバトル!」、いかがでしたでしょうか?

無事に終了しホッと胸をなで下ろしています。

「天皇と人権」

この重いテーマに対し肯定側、否定側双方の意見がぶつかり合う中で、あなたはこの問題の多面性と奥深さに気づいたことでしょう。

最後の恐子さんによるソクラテスの口寄せは、奇異な演出に思われたかもしれません。

日本の民俗学の観点からもとても興味深いイタコですが、伝統的な師弟関係に基づく精神と技術の伝承が実質的に途絶えつつあります。

恐子というキャラクターは、そんな風前の灯火であるイタコへのオマージュ (hommage:尊敬する人物に敬意を表する意味のフランス語) の気持ちを込めて創作しました。

イタコについて近い将来、テーマに取り上げたいと考えていますが、この演出は物事の本質を哲学的に思考するための私なりの試みなんです。

哲学とクリティカルシンキングはその概念において、共通項が多々あると私は思っているからです。

ソクラテスが語ったように答えを急ぐのではなく、問い続けること、考え続けること、対話し続けること、すなわち熟議 (じゅくぎ:多くの当事者が熟慮と議論を重ね共通認識を形成し課題の解決を目指すこと) がカギを握る。

このクリティカルなプロセスがよりよい社会を築き、私たちの未来を明るく照らす光になると信じています。

次回もあなたの知的好奇心を刺激するテーマで「ヒルガチ」をお届けします。

ご期待ください!

来週の金曜日、お昼12時、第2回放送でお会いしましょう。

それではごきげんよう!

ゲンカイモン


【予告】
来週のテーマ、「緊急特番!マタギの知恵に学ぶクマとの共生」を放送する予定、どうぞお楽しみに。

【より深くヒルガチを楽しむために】
初めて訪問された方は、「ヒルガチの歩き方」をご覧ください。

【クリティカルシンキングを理解する】
クリティカルシンキングについて、「クリティカルシンキングを極める!」で解説しています。

【ヒルガチ運営ポリシー】
なぜ、クリティカルシンキングスキルの鍛錬に討論が有効なのか? この答えは「ゲンカイモンの挑戦!」で詳述しています。

【免責事項】
本コンテンツは正確を期すよう細心の注意を払い制作していますが、完全性、有用性を保証するものではありません。情報の利用により万一損害が生じた場合、ゲンカイモン及びすべての本プログラム関係者は、一切の責任を負わないことをご了承ください。

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